しそ油とは違う!?「えごま油」の成分表、効能6選と注意点とは?
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米油と並んでアジア特有の植物油
えごま油は、意外に欧米では馴染みのない植物オイルです。しかしアジアの各国、インド、中国、韓国、日本、タイでは、古くから食されてきました。
えごまはシソ科の植物です。
シソ科の植物には、バジル、ミント、ローズマリー、ラベンダー、セージといったよく知られているミントが中心で、実はえごまもシソ科のミント種の一つです。
英語では “Perilla” と呼ばれます。えごまの種子は“Perilla Seed” になります。
えごま油とは?
えごま油は、荏胡麻の種子から絞ってつくる油です。よく「ごま油」とも間違えられますが、名前が似ているだけで、ごま油とえごま油はまったくの別モノです。
「ごま」はごま科ごま属の植物の種になり成分も違います。
えごまは福島県地方では、食べると10年も長生きすることから「じゅうねん」と呼ばれ、また岐阜の飛騨高山地方では、「あぶらえ」とも呼びます。味噌に混ぜて焼き餅に塗ったり、煮物にゴマのように振りかけて食べるのが伝統的な食べ方です。
シソ油とは違うのか?
よく、「えごま油」と「シソ油」の違いは何か?同じものなのか?という疑問もあるかと思いますが・・
たしかに、今でもシソ油って名前でも売られてますよね?
シソ油っていうくらいだからシソの葉っぱから取れる植物油のように理解していました。しかし、シソの葉っぱには油分が0.2%しかないそうです。ですので、葉っぱから油を搾るのは現実的に難しいですね。
一方、えごまの種子の方は油分が35%~40%もあります。ですので、シソ油と呼ばれていた油も、実はえごま油と同じものだったのだろうと思います。
実際にえごま油の老舗、大田油脂さんのHPにも記載がありました。
引用:当社ではえごま油としそ油は同じものとしています。以前は「えごま油」の知名度が低かったことから、「シソ油」として販売しました。
参照URL: http://www.egoma-maruta.jp/qa.html
えごま油の持つ栄養価
えごま(100g中)の主な脂肪酸の成分表は以下のとおりです。(Wikipediaより)
えごまが持つ脂肪成分(100 g 当たり) | ||
---|---|---|
脂肪分トータル | 38.79 g | |
飽和脂肪酸 | 3.34g | |
パルミチン酸 | 2.3g(5.9%) | |
ステアリン酸 | 0.94g(2.4%) | |
一価不飽和脂肪酸 | 6.61 g | |
オレイン酸(ω9) | 6.5g(16.7%) | |
多価不飽和脂肪酸 | 28.8g | |
リノール酸(ω6) | 5.1g(13.1%) | |
α-リノレイン酸(ω3) | 24.0g(61.8%) |
一方、えごま油の栄養成分は以下のとおりになります。(日本にはえごまのデータだけで、抽出油のみの成分表がなかったので、米国栄養学研究所のデータベースより引用)
えごま油の成分表、脂肪酸の中での含有比率。
- アルファリノレン酸(オメガ3) 54~64%
- リノール酸(オメガ6) 11~16%
- オレイン酸(オメガ9) 14~23%
- 飽和脂肪酸 6.7~7.6%
その他、ポリフェノールやフラボン(ロスマリン酸、ルテオリン、クリソエリオール、ケルセチンなど)といった成分もえごま油には含まれています。
えごま油の持つ6つの効能や特徴
【1】アルファリノレン酸
えごま油の主成分の特徴はなんといっても、必須オメガ3脂肪酸の「アルファリノレイン酸」です。
植物油の主成分でオメガ3必須脂肪酸のアルファ・リノレイン酸を60%近くも多く含んでいるのは「亜麻仁油」とこの「えごま油」だけです。
このアルファリノレン酸は体内でEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)に変化してくれます。EPA、DHAは青魚にも多く含まれる栄養素ですが、この必須脂肪酸である植物ベースの「アルファリノレイン酸」がもたらしてくれる健康効果、効能は多岐に上ります。
代表的な効果としては
- 血流改善、血栓の予防
- 老化防止
- コレステロールの低減
- 高血圧、糖尿病の予防
- がん予防
- 抗炎症性
などがまずはあげられます。
【2】脳細胞の健全化
またアルファリノレイン酸は、健全な細胞膜の組成に非常に役立ち、特に脳を構成する脳細胞の健全化が図られると、神経伝達系の改善効果につながります。その結果、子供の脳発育の強化やアルツハイマー予防などの効果も見込まれます。
【3】心臓発作のリスクを低下
アルファリノレイン酸は心臓病や心臓発作のリスク低下につながります。6年間、一日1.2gのアルファリノレイン酸の食事摂取を続けることで、男性女性とも59%も心臓発作リスクの軽減効果があると言われています。
【4】アテローム性動脈硬化症
アルファリノレイン酸の高い食事を続けていると、心臓につながる動脈上の「プラーク」を減らす効果があります。プラークは、「アテローム性動脈硬化症」につながる危険な脂肪の固まりです。
そして次の2つの特徴が「ロズマリン酸」と呼ばれるポリフェノール成分の存在や他のフラボン類がもたらせてくれる効果です。
【5】抗ヒスタミン性
この酸は、抗ヒスタミン特性を有していて、アレルギー反応の強さも減少させることができます。敏感肌を落ち着かせ、保湿効果も高めてくれます。
【6】抗菌性
その他に、えごま油には、お肌の余分な微生物を取り除いて、にきびの原因となる細菌を減らすことができる自然由来の抗菌特性をもっています。にきび、吹き出物を抑えてくれる嬉しい美肌効果があります。
えごま油の摂取の仕方
EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)の1日あたりの必要量は成人で1~2g、イワシなら2尾分が必要になります。毎日イワシを2尾食べるのはなかなか大変ですが、えごま油なら簡単に摂取できます。えごま油ですと、たったスプーン1杯で1日に必要量である2gを摂ることができます。
食事での使用および注意点
食事の際に、料理に直接えごま油をかけるだけでOKですし、面倒なことは何もありません。ただし、酸化しやすいという性質があるので、加熱調理用には使用しないでください。また、酸化すると過酸化物質に変化してしまいますので、開封後は必ず冷蔵庫での保存が必要です。開封後は、早めに使い切るようにしましょう。
えごま油に関する気になるニュース
2016年1月に日本テレビ系のニュースで、「えごま油」における品質問題が取り上げられました。国民生活センターが国内20社のえごま油製品を調査し、アルファリノレイン酸含有量が極端に低い商品が見つかりました。いわゆるえごま油100%ではなく、他成分との混ぜ物オイルであった可能性が高くなっています。
老舗の油販売店が取り扱っていた商品だけに衝撃的なニュースでした。
やはり商品選びには充分に注意していきたいところです。ただ、今回のメーカー以外の商品でも”透明ガラス”で売られているえごま油が多いのが個人的には非常に気になります。
海外においては常識なのですが、アルファリノレイン酸、オメガ系必須脂肪酸成分などを扱った植物油は大抵において酸化防止のために「光、紫外線」に強い“遮光瓶”で売られているのが当たり前だからです。この点も気になる方は商品選びの際の参考にしてください。
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ゼウス23世のえごま油まとめ
アルファリノレイン酸やオメガ3必須脂肪酸の必要性については随分と浸透してきた気がします。
しかし、もっと大切なのがオメガ3とオメガ6のバランスの改善。リノール酸を中心としたオメガ6脂肪酸は、今の普段の生活、外食でも充分補えていますので、いかにオメガ3脂肪酸の摂取量を気にしながら増やしていくかが大きな課題になっています。
その点、オメガ3成分の含有量が高くて、同時にオメガ6脂肪酸を低く抑えられるのは、えごま油と亜麻仁油だけ。ぜひ積極的に摂っていきたいものですね!
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(By ゼウス23世)