ライ麦パンの栄養価や糖質量とは?お家で簡単作り方、本格レシピも!
ライ麦パンって、どんなイメージでしょうか?
ほのかな酸味と麦の味わいの「ライ麦パン」。
他のパンと比べて栄養価も高いため、ヘルシー志向のあなたは、食事に積極的に取り入れているのではないでしょうか?
ライ麦は、悪条件の土地でも負けない強い生命力をもつ穀物とも言われています。
今回は、ライ麦で作るライ麦パンの栄養価と気になる糖質、またお家でつくるライ麦パンレシピをご紹介していきます。
この記事の目次
ライ麦ってどんなもの?
【1】ライ麦とは
ライ麦は、イネ科の越年性の一年草。別名を“黒麦(くろむぎ)”とも呼ばれています。
ライ麦は、痩せた土地、寒い気候の土地、標高の高い地域など、小麦の栽培に向かない悪い条件の環境下でも育てることができます。
種子を粉にするとパンやクラッカーなどに、麦芽(ばくが)はウォッカやビールの原料として、穂にできる麦角(ばっかく)は薬としても利用されています。
【2】ライ麦パン
ライ麦は、ヨーロッパでは小麦の次に多く食べられている穀物で、パンの原料とされることが多いのも特徴です。特に小麦の生産が難しい寒い地域(ドイツやロシア、北欧、北アメリカなど)を中心にライ麦が栽培され、ライ麦パンがとても親しまれています。
ライ麦パンの原料のライ麦粉は白く精製されていないため、ライ麦パンは、色が黒っぽいのが特徴、「黒パン」とも呼ばれますね。
【3】ライ麦パンと一般的な小麦パンの違い
一般的な小麦パンとライ麦パンとは、その色の特徴だけではなく、その作り方やグルテンにも違いがあります。
◆ 発酵に使う菌が違う!
小麦パンは、発酵させるのにイースト菌を使用しますが、ライ麦パンの場合はサワー種と呼ばれる伝統的なパン種(粉と水を混ぜて作る生地に、乳酸菌と酵母を中心とした複数の微生物を培養させてつくる)を使用します。発酵力があるイースト菌はふっくらと仕上がりますが、サワー種にはその発酵力には限りがあるので、密度が高くてずっしり硬めの「パン」に仕上がります。しかし、その点、噛みごたえもあり、腹持ちもよいパンともいえます。
ライ麦パンには、サワー種による酸味と、麦の濃厚な旨みが加わります。
◆ 話題のグルテンにも大きな違いが
グルテンは、小麦タンパクのひとつの成分“グルテニン”と、胚乳内の貯蔵タンパク質の“グリアジン”が、水と反応した時に生成されます。小麦は、この両方の成分を持っていますが、ライ麦にはグルテニンが含まれてないので、結果的にグルテンが形成されないという大きなメリットがあります。
ライ麦パンの栄養価
ライ麦パンの栄養価とその効果とは?
ライ麦パンには、食物繊維やビタミン、ミネラルなど、多くの栄養素が含まれています。特に食物繊維量や、ミネラル類は、数あるパンの中でもトップクラスです。
(1)食品標準成分表より
ライ麦パン※1と小麦食パン各100gあたりの食品標準成分表の比較をしてみましょう。
(※1ここのライ麦パンの成分は、ライ麦50%と小麦50%で作られたパンにて計算されています。)
ライ麦パン/小麦食パン
- エネルギー 264/264kcal
- 炭水化物 52.7/46.7g
- 脂肪 2.2/4.4g
- タンパク質 8.4/9.3g
- ビタミン
- ビタミンB1 0.16/0.07g
- ビタミンB2 0.06/0.04g
- ビタミンB12 0/(Tr)mg
- 葉酸(B9) 34/32μg
- ミネラル
- ナトリウム 470/500mg
- カリウム 190/97mg
- カルシウム 16/29g
- マグネシウム 40/20mg
- 鉄分 1.4/0.6mg
- 亜鉛 1.3/0.8mg
- 他の成分
- 水分 35/38g
- 水溶性食物繊維 2.0/0.4g
- 不溶性食物繊維 3.6/1.9g
- 食塩相当量 1.2/1.3g
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
(2)ライ麦パンの栄養価の大きな特徴
1.食物繊維が豊富
食物繊維には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類があります。食物繊維の摂取にはこれらのバランスが大切!
“水溶性:不溶性の食物繊維の割合は1:2が理想的だと言われています。
ライ麦には、このどちらの食物繊維がバランスよく含まれています。
肌荒れや、美容の大敵にもなる便秘!便秘改善には水溶性、不溶性の食物繊維をバランスよく摂ることが効果的です。
また便秘のみならず
- 腸内の善玉菌を増やすなど腸内環境を整える
- 血糖値の急激な上昇を抑えてくれる
- 水分を含むとゲル化して、余分な脂肪を吸着、体外に排出してくれる
などの、多くの健康メリットもあります。
食物繊維は、美容やダイエットなどカラダには欠かせない大切な栄養素です。
2.ビタミン類が豊富
ライ麦パンには、ビタミン類、中でもビタミンB1・B2と葉酸が豊富に含まれています。
カラダの中で糖質の分解を助けてくれるビタミンB1、皮膚や粘膜など、お肌を保護するビタミンB2、そして、葉酸は病気に対する抵抗力を高め、貧血予防の手助けてくれるなど、女性に嬉しい効果が盛りだくさんです。
ただし、葉酸は他のビタミン類(ビタミンB6、B12、Cなど)との相互作用でパワーが発揮されるため、他のビタミンとのバランスも大事。葉酸だけを多く摂取しても意味がありません。
特にビタミンB12 は中でも不足しがちなので、意識して摂取するようにしましょう。
3.豊富なカリウム
ライ麦にはカリウムが豊富に含まれています。
カリウムは、不足するとむくみや血圧上昇の原因となります。
普段、ファーストフードやインスタント食品などを多く食べている方や、味付けが濃いものばかり好んで食べているというあなたには、ぜひ積極的にとってもらいたい栄養素です。
カリウムは、多量ミネラルに分類され、一日の摂取量が100mg以上も必要なミネラル。
ライ麦パンには190mgと豊富に含まれていますので、普段のパンをライ麦パンに変えるだけでカリウム不足の解消に役立ちます。
4.鉄分
貧血は、鉄分不足による代表的な病気。“隠れ貧血”と呼ばれる鉄欠乏症の人も少なくありません。鉄分の不足は、カラダのいたるところで悪影響を及ぼします。
めまい、肩こり、冷え、疲れやすい、風邪をひきやすい、集中力の低下、イライラしやすい、髪が抜けやすい、爪が割れやすい、のどが詰まった感じがする、足がムズムズする、食欲の低下、などなど…数を挙げればきりがないほど。
成人一日の食事で必要な鉄分量は、男性が10mg、女性が12mgです。
そして、ライ麦パン100gには、1.4mgの鉄分が含まれています。
5.亜鉛
ライ麦パン100gには、1.3mgの亜鉛が含まれています。
亜鉛の1日における必要摂取量は、成人男性で10mg、女性だと8mgです。
亜鉛を十分に摂取していると、風邪をひきにくくなるなど、免疫力の強化や、たんぱく質の代謝アップ、皮膚や髪の健康を保つなどの効果があると言われています。
その他、亜鉛不足が続くと、味覚障害や成長障害など、鉄分同様にこわい症状を引き起こしてしまう可能性もあります。
亜鉛は、ビタミンCを一緒に取ると吸収が良くなるといわれています。しかしライ麦パンにはビタミンCは含まれていませんので、他の食品と合わせてビタミンCも摂るようにしましょう。
ライ麦パンのカロリー、糖質量とは?
【1】カロリー
ライ麦から作ったパンは、小麦を使う一般的なパンよりもカロリーは低めになりますが、ライ麦50%のパンだと、小麦の食パンとカロリーはほぼ同じです。
ただ、ライ麦の割合が多くなるほどカロリーは低くなります。
小麦の食パン100gでは264kcalですが、ライ麦100%のパン100gだと、187kcalと低カロリーになってくれます。
【2】糖質量の計算
糖質量は、炭水化物-食物繊維の量で計算することができます。
- ライ麦50%のパンの糖質量は 52.7g-5.6g=47.1g
- 小麦食パンの場合は 46.7g-2.3g=44.4g
となり、同じ100g中での糖質量は、小麦食パンよりもライ麦50%のパンの方が多い結果となります。
ライ麦パンの作り方 ~お家で作れる、ライ麦パンレシピ~
少し敷居が高そうなイメージがするライ麦パン作りですが、意外と簡単にできてしまいます。
他の小麦パンと変わらない工程ですので、是非チャレンジしてみて下さい!
【1】材料3つ☆1時間で☆ライ麦100%パン
とてもシンプルな素材でヘルシーなライ麦パン。
ライ麦100%なので、ライ麦本来の味と、濃厚な旨み、また噛みごたえ抜群の生地を堪能できそう♪
とにかく混ぜるだけ、という簡単な工程でパン作り初心者の方にもおすすめできるレシピです。
<材料>
- ライ麦粉 100g
- ドライイースト 小さじ1/2
- 塩 小さじ1/2
- ぬるま湯 100cc
<作り方>
- ボールにぬるま湯と、ドライイーストを入れかき混ぜます
- 1に塩を入れて混ぜます
- 2にライ麦粉の半量を入れて混ぜます
- 3に残りのライ麦粉を入れ混ぜ、生地をひとつにまとめます
- 室温で30分置く。(ラップをかける)
- 好みの形にして、200℃のオーブンで焼きあげます。(上段で20分)
参考: クックパッド
【2】ドイツ人お墨付き!ライ麦パン♪
独特の酸味が特徴のライ麦パン、こちらのレシピはサワー種を使った本格的なものになります。小麦とライ麦をほぼ半量ずつの配合で作っています。
普段の小麦を使ったパンと同じように作ることができますね。
バター、卵、白砂糖を使わないとってもヘルシーなライ麦パンの出来上がりです。
<材料>
- 準強力粉 125g
- ライ麦粉(細挽き) 105g
- 塩 5g
- ハチミツ 5g
- 粉末サワー種 18g
- インスタントドライイースト 2g
- モルトパウダー 1g
- 水 170g
<作り方>
- 材料全てをHBに入れて、3~4分捏ねる。てごねの場合は、材料をボールに入れて捏ねます。(生地がムラなく混ざればOK)
- 1を一つにまとめて、濡れフキンをかけます。(一次発酵60分)
- ガス抜きをします。(ベンチタイムなし!)
- 必要に応じて打ち粉をしながら、3の生地を長方形に伸ばし三つ折りします
- 90度回転させて、三つ折り。形を整え濡れフキンをかけます。(二次発酵30~45分)
- 5に分量外のライ麦粉を振り掛けてクープを入れます
- 霧吹きをかけた6の生地を、240℃に予熱したオーブンで焼きます。(23~25分)
出典: クックパッド
ライ麦パンの栄養価まとめ
美容やダイエット効果もバツグン!?ライ麦パンを積極的に取り入れましょう!
ライ麦パンは、カロリーの数値だけを見ると、他のパンとの大きな違いは感じませんが、食物繊維が豊富なこと、また低GI食品であること、パン生地特性から噛みごたえがあったり、腹持ちがよかったりなどの理由から、美容やダイエット向きのヘルシーパンと言えます。
また、ダイエット時に不足がちな「ビタミン」や「ミネラル類」を豊富に含んでいることも、大きなポイントですよね。
ちょっと敷居が高く感じてしまいそうなライ麦パンですが、他の小麦パンと同様、お家でも簡単に作ることができますので、是非色々なアレンジをして楽しんでみてくださいね!
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