海外セレブや世界的なテニスプレイヤーのジェコビッチが取り入れていることで、日本でも一気に話題になっている「グルテンフリーダイエット」。
グルテンが含まれないグルテンフリー食材の食事に切り替えることで、健康的に痩せられるというものです。
しかし、日本で話題になっているこの「グルテンフリーダイエット」に関するネット上の情報を見ると本来のグルテンフリーの趣旨から外れているものや、痩せられる理由に少し無理があるような情報が多く見受けられる印象です。
- グルテンフリーダイエットの本来の意味とは?
- そのダイエット効果の真偽とは?
- グルテンフリーに関する海外で今、議論されているポイントとは?
- むしろ危険性もあるのではないか?
について、見解をふくめてご紹介していきたいと思います。
本来グルテンフリーダイエットはこの時代に求められる食事法です。ですが、すべての人がその意識を持つ必要もありません。正しい情報をベースに、むしろマイナスの部分もあることも知っておく必要もあります。
あれもこれも何でもカンでもダイエットに効果があるって言われても本当なの?ダイエットに効くって言われてもよくわからないな?
と少しでも疑問に思っているあなたには、役立つ内容になっていれば嬉しいです。
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グルテンフリーダイエットとは?
グルテンって何?グルテンフリーとは?
グルテンは、主に小麦、大麦、ライ麦の胚乳から得られるたんぱく質の一種です。
小麦の胚乳の中に「グリアジン」と「グルテニン」というタンパク質が含まれています。正確には、水を加えてコネルことで、そのグリアジンとグルテニンとがと結びついて、「グルテン」と呼ばれる成分ができます。
このグルテンは、うどんや、パン生地をモチモチでふんわりした食感に仕上げてくれます。気が付けば実に多くの小麦製品などに含まれています。
そして、「グルテンフリー」とは、その「グルテン」が入っていない食材、また含まないように開発された食品のこと。
グルテンフリーダイエットは、グルテン食材を使わず、グルテンフリーの食品だけを食べるようにしましょう!というダイエット方法です。
グルテンを含む食材
グルテンを含む食材は以下の通りになります。
直接食材の主なものが、
- 小麦粉(最も多く含んでいるのが強力粉、続いて中力粉、薄力粉)
- 大麦、押し麦、丸麦、ライ麦、そら豆 など
になります。
しかし、これら直接食材だけでなく、これらの材料を使ってできた加工品である
- パンやパスタ、うどん
- ビール
- クッキー
- ピザ
- シリアル
- たこ焼き/お好み焼き
- そうめん
- 餃子
- カレー、シチュー
- お味噌
などにまで、グルテンは含まれています。
なんだ、これじゃ食べれるものがほとんど無いじゃないか!
と思ってしまうほど、グルテンを使った食品は身の回りにたくさんあります。
グルテンフリーダイエットのやり方とネットで多く見られる効果の情報
<やり方>
完全にグルテンの摂取をなくすことは急には難しいかもわかりません。
ですが、外食ではなく、“自炊”の上で小麦の代わりにグルテンをふくまない「米粉」や「大豆粉」を使います。その他、グルテンフリーと記載された材料を使います。
<ネットで騒がれているダイエット&美容効果とは>
【効果1】 血糖値の上昇が抑えられる?
グルテンの摂取を抑えることで、血糖値の上昇が抑えられます。結果、インスリン分泌も抑えられ、糖分解をおさえられるという理論です。
【効果2】 食欲が減る
「グリアジン」という成分は、食欲を刺激する効果があると言われています。
グリアジンを多く含んだパンやうどんなどは食べ始めると食欲が刺激され、次々とたくさん食べてしまう傾向があります。
【効果3】 アンチエイジング
血糖値の上昇を抑えるのと同時に、体内細胞の「酸化」を抑えることにもつながります。
体の酸化、いわゆる錆びる原因の一つに糖化がありますが、糖化は細胞が糖分と結びついてしまうことで起こります。糖化は、シミやたるみの大きな原因の一つです。
【効果4】 その他、集中力アップなど
血糖値が急激に上昇することにより、インスリン分泌が一時的に上昇して、糖分かいを行います。そして、また血糖値が正常に戻ります。
このような血糖値の急激なアップダウンは、カラダがだるい、ぼんやりするなどの症状を産んでしまいます。
また、グルテンフリーは、カロリー計算を必要とするものではありませんので、ダイエットも楽だ、と主張する意見もネット上には溢れています
本当にこれで痩せられる?
こんなグルテンフリーダイエットに関する情報なのですが、その効果には、大きな5つの疑問が残ります。
- ① グルテンフリーとは本来、ダイエット目的で生まれたものではないこと
- ② グルテンと糖質の勘違いが大きいのではないか
- ③ 英語で言う「ダイエット」とは「体重減(ウェイトロス)」とは違う、単なる食事の意味
- ④ グルテンフリー製品の市場が実際より大きくなりすぎている
- ➄ 海外での評判、ダイエット効果に対する意見がそもそも違う
ではそれぞれについて、次に検証した内容を紹介します。
<疑問①> グルテンフリーとは本来、ダイエット目的で生まれたものではない
グルテンフリーの食材は本来、セリアック病(Coeliac disease) またはシリアック病(Celiac disease)と呼ばれる症状の方のために生れた食品です。
セリアック病は、遺伝性と見られる小腸の病気で、グルテンに対する免疫反応によって、栄養吸収が上手くできず、食事の量に関らず栄養失調の状態に陥いってしまう病気です。
セリアック病の患者には、うつやパニック障害、自閉症、ADHDなどの行動障害にまで影響が出るとも言われていて、グルテンが引き金になること以外、まだそのメカニズムが完全に解明されているわけではありません。
また、米国では人口の約7%がこのセリアック病および、グルテン不耐性をもっていると推測されています。日本では、まだ欧米に比べてその比率が多くないと推測されています。
<疑問②> グルテンと糖質の勘違いが大きいのではないか
グルテンフリーが血糖値の上昇を抑え、インスリン抵抗性を正常にするというのは、糖質や炭水化物か何かと間違えているのではないかと思われます。
つまり、「グルテンフリー」と「低炭水化物」はまったく違うということです。
事実、アメリカの多くの消費者もこれらを混同してしまっているとのこと。日本にもそこのところの間違った情報が入ってきている可能性があります。
調べた限り、グルテンフリー食品が、低炭水化物、低カロリーを意味するものではなく、グルテンフリー食品には、味や食感を補うために余分な糖質や、カロリーが入っている場合もあるのです。
例えば、グルテンフリーパスタの方が、通常パスタよりも炭水化物含有が高い場合もあるのに、どうしてインスリン抵抗性にまで良い影響があるのかがわかりません。
また、グルテンフリー食品は、実は通常パスタよりも「食物繊維が少ない」傾向にあることも指摘されています。
さらに、本来の穀物が持つ、ビタミンB群、カルシウム、鉄、亜鉛、マグネシウムなども少なく、グルテンフリー食品では必須の栄養素が欠如する可能性もあるとする栄養士もいるほどです。
<疑問③> 英語で言う「ダイエット」とは「ウェイトロス」とは違う!
これも日本語ならでは問題ですね。
グルテンフリーダイエットは、英語圏では、グルテンフリーの食事をする、という意味。ダイエットは決して「痩せる」「減量」の意味ではありません。
Diet の語源は、古代ギリシャ語のÐiaita ディアイタから来ていると言われています。
ディアイタは、「生活様式、生活習慣、生き方」となるのですが、そこから、自分のカラダを守るための選択する、食べ物を選ぶ、という言葉へと派生してきています。
英語で言う「ダイエット」は、健康維持のために、食べる物を選んだり、きちんと量を考える、っていう意味なんですね。
どうも、グルテンフリーダイエットがそのままグルテンフリー食品で痩せる!と言う意味に誰かが訳したものか、日本ではネットなどで一人歩きして使われ始めたような気がしてなりません。
<疑問④> グルテンフリー製品の市場が実際より大きくなりすぎている
先述したように、米国では自己免疫障害のセリアック病や、グルテン不耐性と診断されている人は人口の7%と推測されています。
しかし、2013年の世論調査によると、30%もの大人がグルテンフリー食品に飛びつき、グルテンを完全に避けようとしている意識であることがわかりました。
またカナダのある研究では、通常食品56件のコスト比較で、グルテンフリー製品の値段は、通常製品に対して、2.4倍も高いことがわかっています。
さらに、北米のグルテンフリー市場は、2014年の7.7億ドル(770億円)から2019年には23億ドル(2.3兆円)にまで拡大することが予想されています。
言葉巧みな製品製造者、販売者によって、グルテンフリー市場が必要以上にあおられてつくられていることも容易に考えられます。事実、30%もの人が必要以上にグルテンフリーに熱狂的にさせられています。
<疑問➄> 海外でのダイエット効果、評判はまったく逆であるという事実
米国サイトでの情報では、グルテンフリー食は体重減につながるという情報よりも、逆にカラダに悪いという情報も多くみられます。
ニューヨーク在住 栄養士のケリ・ガン氏
「メディアでは、グルテンフリーダイエットが、疲労、にきび、肥満、ADHD、自閉症まですべてを治すと主張する医者の話を紹介していたが、セリアック病やグルテン不耐性を医学的に診断されていない人にとっては、グルテンフリーになる理由は全く見当たらない」
「逆に、グルテンフリーにすると、タンパク質、果物、野菜が豊富な食事にしなければならない」
ズッカーブロート氏はこう指摘します。
“グルテンフリーは、穀物からビタミンを奪い、穀物全体のその完全な栄養パワーを失う” “また、グルテンフリー食品は、より多くの添加物、保存料、脂肪、砂糖がいっぱいで、逆に飢えや体重増加につながります““通常のクッキーとグルテンフリーのクッキーはどちらも健康には良くない”
またグルテンフリー食に関するブログメディア「Beard + Bonnet」とフリーペーパーの「Go Gluten Free誌」の編集長であるメグ・クルーク氏によると、
多くのグルテンフリーにおけるブロガーでさえも、グルテンフリー食は誰にとっても最善と言えるものではない、とつづられている
とコメントしています。
見解や注意点など
- グルテンフリー食品はある特定の人にとってなくてはならないもの
- グルテンに対する問題がない人も多い
- グルテンフリーダイエットは、体重減に繋がらない可能性があるどころかマイナス効果もある
- グルテンフリー食は、低炭水化物、低カロリーとは関係がない
といったことをまず知っておく必要がありそうです。
今のところ、グルテンフリーの食品は、多くのセリアック病の患者にとっては無くてはならないものであり、また、「グリアジン」という成分には、食欲を刺激する効果があるので、ダイエットに影響がゼロではないのだろうと思われます。
ただ、このグルテンフリー食を中心にすることによって、体重減の効果が大きく期待できるものではない。むしろ人によっては、逆のケースも起こりうる可能性がある。
というのが今のところの見解、結論になりそうです。
また、必要栄養素が少なくなる傾向もあるので、グルテンフリーダイエットにチャレンジする場合には
- タンパク質をしっかりとる
- 野菜、果物をバランスよくしっかりととる
- 適度な運動をする
ことは忘れないようにしてください。
グルテンフリーダイエットまとめ
どうやらグルテンフリーダイエットとは、「グルテンそのものを避けることで痩せられる」というわけではありませんでしたね。
また、従来のグルテン食品とグルテンフリー食品その両方に、メリット・デメリットがあるということがわかりました。
グルテンを避けること、そして糖質や炭水化物も同時に避けることで、糖質オフダイエットと同じような効果にもつながります。
また、お米やイモ類にはグルテンがもともと含まれていませんので、グルテンフリーダイエットを実践するときに、お米も食べられないという辛さは無いようですね♪
ただ、グルテンフリーダイエットに大きく期待してもダメ。劇的に痩せられる~なんていう甘い考えは捨てた方が良さそうです(笑)
(By ゼウス23世)