LPS「リポポリサッカライド」機能の信憑性!手放しで信じて良いの!?
日本テレビの“世界一受けたい授業”という番組で特集されていた「LPS リポポリサッカライド」(2月20日の放送と、4月2日にもその特集と今年になって2回も放送されていました)
きっと、あなたもこの番組を見て、LPS(リポポリサッカライド)の存在が気になったお1人なのではないでしょうか?
私もこのLPSの番組を見て、この新しい物質の存在や紹介されていた機能が非常に気になりました。この番組の内容が本当であれば、私たちの健康にすごい効果が将来期待できますもんね!
そこで、無性にこの「LPS(リポポリサッカライド)」のことをもっと知りたくなって、海外サイトをふくめていろいろ調べてみました。
この記事の目次
LPS「リポポリサッカライド」とは?
日本語での記事はアバウトすぎて、機能や仕組みが充分に説明できているサイトはパッと見あたりませんでした。
Wikipediaによる説明だと、「LPS(リポポリサッカライド)」の説明は以下のとおり。一応、そのままの原文を以下に引用します。
リポ多糖(リポたとう、英: Lipopolysaccharide, LPS)は、グラム陰性菌細胞壁外膜の構成成分であり、脂質及び多糖から構成される物質(糖脂質)である。LPSは内毒素(エンドトキシン、英: Endotoxin)であり、ヒトや動物など他の生物の細胞に作用すると、多彩な生物活性を発現する。LPSの生理作用発現は、宿主細胞の細胞膜表面に存在するToll様受容体 (Toll-like Receptor、TLR) 4 (TLR4) を介して行われる。 (Wikipediaより)
???
あれっ?私には意味が何だかさっぱりわかりません!
そこで、海外サイトをいろいろ調べてみた結果、私なりに行きついた理解はこうです。
LPS(リポポリサッカライド)に対する理解
「LPS(リポポリサッカライド)」とは、グラム陰性菌(大腸菌、コレラ菌など)と呼ばれるいわば”ばい菌細胞”の外壁に付着形成している物質。脂質と糖が結合して出来ていて「リポ多糖類」とも呼ばれます。
「LPS(リポポリサッカライド)」は、以下の3つから構成されています。
- グリカンポリマー (O-lipid)
- ポリサッカライド体
- リピッドA(脂質A)⇒ エンドトキシン(毒素)成分
そして、LPSはこの”ばい菌細胞”が死滅した時に、リピッドAの成分が遊離して、体内で「エンドトキシン(毒素)」として作用していきます。
このエンドトキシンは強力な毒素で、カラダの発熱反応や血管細胞の障害、ひどい場合にはショック死まで引き起こしてしまいます。
その結果、カラダの中ではマクロファージ(掃除の役目をする白血球)とともに、サイトカイン(免疫システム)が発動されて、LPS(リポポリサッカライド)が産み出した毒素を片づける仕組みになっています。
【免疫力強化の仕組み】
(1)ばい菌細胞の死滅
↓
(2)ばい菌の細胞壁からLPS(リポポリサッカライド)のリピッドAが遊離
↓
(3)リピッドAを退治するためにマクロファージと免疫システムが増強される
こういう理屈、仕組みなのですね。まさに、ワクチン注射のような考え方であることが分かりました。
番組での主張はたしかこうでしたね!?
LPS(リポポリサッカライド)を積極的に摂ることによってカラダの免疫力があがり、風邪やインフルエンザなどにかかりにくい強いカラダになれる。
花粉症、糖尿病、骨粗しょう症にも有効。細胞を活性化し、皮膚トラブルであるアトピーなどの改善効果も見込める。
お肌のターンオーバー(新陳代謝)をも促進してくれるので、リポポリサッカライドを含むクリームを肌にぬると美肌にもなれるのだそう。。
番組では、そのリポポリサッカライドを含んだ食材を積極的に摂りましょう。その含有率が高い食材としては、玄米、メカブ、レンコン、ヒラタケ、岩ノリなどが紹介されていました。
ん?食材から摂って大丈夫なのか?もっと調べてみよう!
私なりに調べてみて、毒を注入してマクロファージを活性化させるという理屈と考え方はわかったので、さらにその安全性や信頼性をさぐるために、さらに海外サイトを調べてみることにしました・・
色々調べてみた結果
<結論>
残念ながら、調べた限りの海外サイトからは、LPS(リポポリサッカライド)を摂取することによって免疫力が強化される仕組み、その機能ですら、紹介している記事を見つけることが出来ませんでした。(少なくとも私が調べた50サイト以上ほどの中からはですが・・)
むしろ、
- リポ多糖(LPS)の静脈内投与は、哺乳動物において重篤な「毒性」を誘発することが知られている
- LPSを静脈内に投与する場合、私たちのカラダが耐えられるのは、体重に対しわずか、1~4ナノグラム / kgが上限である
といったような記事が目に飛び込んできたり、
- LPSはあくまでエンドトキシン(毒素)である
といった内容しか見当たりません。
唯一、
- LPSを経口投与(口の粘膜を通した程度では)しても、その強い毒性や全身性炎症が発生することはない
- ウサギを用いた動物実験では、LPSを高い比率で経口投与されても2週間は毒性を誘発することはなかった
という記事がみられた程度。静脈への直接投入ではなく、口から摂る程度であれば影響はさほど無いのかも?という安心材料が見つかったくらいだったのです。
なんでだろう?考えられる考察
今回の番組の内容を批判する訳では全くないのですが、上記を踏まえると、その番組で言っていた、LPS リポポリサッカライドの機能と有効性については、まだ実績が信憑性が欠けるのではないかな、と個人的には推測してしまいました。
今回の番組で言っていたLPS リポポリサッカライドが「免疫ホルモン」と呼ばれるほど、すごいテーマなのだとするならば、もっと海外で話題にされていても可笑しく無いだろうと思われたからです。
可能性として
- LPS リポポリサッカライドの優位性や機能、活用性については、世界ではマイナーな研究テーマなのか
- それとも、今回の番組報道が世界初の画期的な発表だったのか
- 人体においての機能検証実験がまだ充分ではないのか
- そもそも私の調べ方、読解力が至らなかったのか、等々
といったような、懸念も考えられるのではないでしょうか?
いずれにしろ、
「今のこの段階で番組の内容をすべて鵜呑みにするのは、時期尚早だという結論にしておこう!」
というのが、個人的に納得するに至った結論なのです。
LPS「リポポリサッカライド」まとめ
私はこの分野の研究での第一人者でもありませんし、素人がこういった記事で意見を述べるのはどうなのか、とは思いましたがあえて記事に書かせていただきました。批判などあればぜひ教えていただきたいと思います。
ただ、今回の件で「マイナスイオン」の問題を想い出しました。
覚えていらっしゃる方もいると思いますが、「マイナスイオン」も科学的根拠が充分ではないと最終的には批判を受けました。マーケティング用語が先行しすぎた疑似科学だったという厳しい批判もあったほどです。
勿論、今回のこの「LPS リポポリサッカライド」は有名国立大学の先生達の大事な研究テーマですし、その内容は確かなものだろうと思うのですが、あまりにもそれらを裏付ける海外情報が少なすぎて残念だったな、というのが今回の印象です。
世界的にこの「リポポリサッカライド」に関する研究がどんどん進められ、機能性などもっといろいろ明らかになって欲しいなと祈るばかりなのです。
(By ゼウス23世)