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オリーブオイルが揚げ物に最適な理由とは?匂いや価格はどう!?

 2017/02/22 オリーブオイル
この記事は約 11 分で読めます。

植物油の摂り方が健康づくりにはとても大切だといわれる時代。

とくに私たち日本人は、炒め物だけじゃなく「天ぷら」という文化ももっています。

  • 衣をたっぷりつけてサクッと揚げる天ぷらに敵した油とはどの油なのでしょうか?
  • 子供にも安心して揚げ物を作ってあげられる植物油の条件は?

とあなたもお悩みではないでしょうか?

そこで、今回ご紹介したいのは「オリーブオイル」

オリーブオイルは、比較的熱にも強く、精製された植物油やサラダ油に比べて、トランス脂肪酸の心配も少ないといわれています。

なぜ、オリーブオイルは安心といえるのか?揚げ物に使うときの注意点とは?

について今回はご紹介したいと思います。

日本国内では参考となる資料も少なかったため、米国で著名なMayo Clinicのオフィシャルサイトや、イギリスのBBCニュースでの発表記事なども参考にさせていただきました。

揚げ物の油の温度とは?

ディープフライと呼ばれる揚げ物は、高温に熱した油に食べ物をつけて揚げる料理法です。

その揚げ物をつくる理想的な温度は約175-190°CとドクターMichael Mosley氏も発言されています。(英BBCニュース記事より)

調理油の中で食べ物がこの温度にさらされると、表面が瞬間に調理され、それ以上油分が中に浸透できないように表面に膜がつくられます。

この油膜の中で、食べ物の水分が蒸気となって飛ばされ、内側から調理されていきます。食べ物から吹き出る蒸気もまた、食べ物への油のさらなる浸透を防いでくれる効果もあるようです。

そして、この175度より調理温度が低すぎると、カラッと衣は揚がるものの、余分な油分が食品に染み込んで、ベチャっとした料理の仕上がりとなってしまいます。また逆に温度が高すぎると、油の発煙温度に達して、油分子が不安定な状態となり、衣表面を焦がしたり、油の酸化が急激にはじまってしまいます。

揚げ物油として使える油、4つのクリアすべき条件とは

揚げ物を安心してつくれる油はどんな油? 以下の4つの条件は少なくともクリアする必要があります。

【1】 発煙温度が高いこと

調理油の発煙温度というのは、それぞれの植物油または動物油に含まれる成分比率や特に燃えやすい繊維質、ろう分などの可燃物比率によって決まってきます。

代表的な食用油の発煙温度は以下のとおりです。

参照⇒ Baseline of health foundation (※すべて未精製の調理油のみ対象)

オリーブオイルについては、エキストラバージンが一番発煙温度が低く、約160度で発煙温度(Smoke Point)を迎えてしまいます。

なぜ発煙温度が大事なポイントなのか?

油脂は高熱にさらされると「油の酸化」の進行が加速することがわかっています。

しかし、正確には、

①発煙温度を超える分子構造が急激に不安定な状態になる酸素分子とくっつき始める(酸化が進む)過酸化物質が出てカラダに害となる

というのが正確な酸化のメカニズムになります。(これはあるカナダにある植物油製品の会社幹部にもお伺いした話しです)

つまり、発煙温度を超え分子が不安定な状態になるのが一番の問題なので、過酸化物質の発生を抑えるためには、発煙温度を超えない温度で調理を行うということが大切になるのです。

オリーブオイルでは、

エキストラバージン以外の、バージンオリーブオイル、またはピュアオリーブオイルといわれるものは、発煙温度が高く、美味しい揚げ物温度の175-190度の条件はクリアできます。

 関連記事 
▶ オリーブオイルの種類、オリーブポマスオイルとは何か?

アドバイス1

発煙温度を超えた調理は危険。揚げ物は175-190℃が適正なので、これより高い発煙温度の調理油を選ぶことが大切!

【2】 過酸化化合物

さきほど紹介したとおり、発煙温度を超え油脂の分子構造が変化しはじめると、急激に酸化というメカニズムが加速します。

酸化がすすむと、空気中の酸素と反応して「アルデヒド」と「脂質過酸化物」と呼ばれる過酸化化合物が排出されます。

空気中の酸素と反応する「酸化プロセス」は、調理時に熱を加えたばかりでなく、常温保管においても進行します。ですが、そのスピードが遅く、加熱によって酸化スピードが二次関数的に加速するというのが正確な表現です。

▶ 油が酸化する理由とは?

アルデヒドや脂質過酸化物はカラダにとって害が大きく、例えば少量のアルデヒドを吸引するだけでも、心臓病および癌リスクの増加につながる可能性があるとドクターMichael Mosley氏は指摘しています。

上記の過酸化化合物の算出量は、ドクターマイケル・モーズリー氏とその研究チームによって、ヒマワリ油、コーン(とうもろこし)油、キャノーラ(菜種)油、オリーブオイル、およびバターおよびがちょうの油(グースファット)を使っての比較実験によって明らかになりました。

さらにびっくりしたのは、多糖類(炭水化物)が多く含まれるヒマワリ油とコーン油においては、使用した他オイルに比べても、アルデヒドの産出量が高かったということです。

アドバイス2

過酸化化合物はやっぱり危険。ヒマワリ油とコーン油は意外にも炭水化物が多いので、アルデヒド産出量が高い!

【3】 熱安定性

脂肪酸の成分比率によって、調理油の性質は変わってきます。

例えば、熱に対する安定性。これは、一般に、飽和脂肪酸が多いほど、加熱に対しても比較的安定しているといわれています。

これは、分子構造上、すでに飽和した状態にある飽和脂肪酸の方が、酸素結合の影響を受けにくいというのが理由です。

また、不飽和脂肪酸の中でも一価不飽和脂肪酸の方が安定します。

化学構造に1つ(またはそれ以上)の二重結合を含む「不飽和脂肪酸」は、その二重結合部分が高温にさらされると、酸素との反応を起こしやすい傾向が高まります。

オリーブオイルは一価不飽和脂肪酸のオレイン酸が中心の植物油なので、酸素に影響を受けやすい二重結合が一つしかないので熱安定性が高くなります。

各油脂における飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸の比率

油脂の種類 多価不飽和脂肪酸(%) 一価不飽和脂肪酸(%) 飽和脂肪酸(%) 一価+飽和比率
ココナッツオイル 2 6 86 92
オリーブオイル 10 76 14 90
ラード 11 45 39 84
グースファット 11 56 27 83
バター 3 21 51 72
キャノーラ(菜種)油 28 63 7 70
ゴマ油 41 40 14 54
コーン油 54 27 12 39
サフラワー(ヒマワリ)油 65 20 10 30

高熱調理には、飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸が多く構成されている油がより安心。

単純に飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸比率が高いという点では、オリーブオイルは、ココナッツオイルに次いで熱安定性があるということがいえます。

アドバイス3

バター、ラードは飽和脂肪酸の塊のような言われ方をしますが、意外にも多価不飽和脂肪酸も含んでいます。

【4】 油を何度も使いまわさない

節約好きの日本人にとって、昔から調理油を使いまわすのが文化のようになっています。

わざわざ調理後の油を濾して保存する容器なども売られていて、調理油を何回までなら再利用が可能かといった議論もよく行います。

私自身も、発煙温度に達していない調理油は、きれいな状態で保存すれば、数回は再利用できるものと信じていましたが、マイケル・モーズリー博士はそのBBC記事において、一度加熱調理に使用した油は再使用しないようにと注意を促しています。

加熱したことにより不安定になった油脂を再利用することは、やっかいな副産物の増産にもつながる可能性が高いと指摘されています。

▶ 使い回し油の危険性!日本人が世界一危ない毒素に漬かってる?

アドバイス4

調理済の油は、一回目に使用するときよりも、発煙温度が下がるので注意ということもよく聞きますが、これも1回目の調理で油が不安定になったと考えると説明がつきますね

【5】 +アルファ「トランス脂肪酸」の話

植物油を精製処理する過程で産まれるトランス脂肪酸の害は広く知られています。

マーガリンやファットスプレッド以外の植物油にも、熱処理、脱臭・脱色されたオイルには、少なからずトランス脂肪酸の危険性が出てきます。

トランス脂肪酸を摂取すると、癌・心臓血管障害・高血圧を引き起こす可能性があると、近年大きく取り上げられています。

こちらにも菜種油やサラダ油の危険性について書かせていただいていますので、参考にしてください。

 関連記事 
▶ 日本にしかないサラダ油って何?トランス脂肪酸との関係は?
▶ キャノーラ油、まだ使いますか?トランス脂肪酸+αの怖い話とは

結論!オリーブオイルは天ぷらにも適している!

意外にも、こういった条件と照らし合わせていくと、揚げ物に使うことができる植物油の数というものが限られてきて、その中でもオリーブオイルは非常に大きな選択肢でることがわかってきます。

オリーブオイルは、一価不飽和脂肪酸のオレイン酸の比率が高く、発煙温度、熱安定性ともに優良な植物油になります。

オレイン酸は抗酸化性も高くて、上手に使えばとてもヘルシーな脂肪酸です。

最後に、天ぷらに使用するときの使用感、風味について考えてみます。

オリーブオイルの風味は天ぷら向き?

オリーブオイルといえば、まずはフレッシュな風味豊かなエキストラバージンを思い浮かぶ人も多いでしょう。しかし、料理によっては、風味が強いとかえって料理の味に逆効果になることもあります。

例えば天ぷら。

これにはオリーブの青みが強い風味は必要ありません。オリーブオイル味の天ぷらになってしまいます。

そこでおすすめなのが、エキストラバージンよりも風味が弱いピュアオリーブオイルです。加えて、エキストラバージンまたはバージンオリーブオイルよりも発煙温度は高いという結果になっています。

風味が弱くて、発煙温度も高い。これはもう日本風の揚げ物、天ぷらにも適しているのではないかと思います。

さらに価格の問題

酸度が0.8%以下である高級なエキストラバージンオリーブオイルは必要ありません。炒め物、揚げ物には、価格も比較的安価なピュアオリーブオイルで十分です。

ですが、日本ではオリーブオイルは他の植物油に比べても価格が高いのが現実!?

  • ではココナッツオイル?
  • それともアボカドオイル?

この2つに比べるとまだ普及率の面からも、オリーブオイルの方が安く手に入りますよね。

最後の選択肢は「綿実油」「米油」?

他の植物油の中で揚げ物調理に利用するならば・・

発煙温度も高く、風味が天ぷらにもマッチしそうなものといえば、「綿実油」と「米油」かもわかりません。

ですが、これらは一価不飽和脂肪酸の比率は少ないため熱安定性にだけは問題が残りそうです。ですが、価格面、風味を考えるとこの選択はあるのかな、とは思える印象です。

使い回さない範囲で、フレッシュな米油や綿実油は選択肢の中に入る可能性あり!(個人的な判断がかなり入っていますが)

オリーブオイルはどうしても揚げ物には使いづらい、という方の選択肢としてはどうなのかというレベルでとらえていただければ助かります。

エキストラバージンオイル/ピュアオリーブオイルとは?

(1)エキストラヴァージンオリーブオイル

オリーブの粉砕や圧搾以外に化学的な処理を一切行なっていない純粋なオリーブオイルです。日本基準でも、酸度が100g当たり0.8%以下になっています。

フレッシュな野菜に直接かけて食べても美味しいのが特徴で、価格については500mlにつき1000円以上するのが一般的です。

美味しい~!酸度0.4%以下で最上級な香り!Doleonエキストラバージン!

 

(2)ピュア(ヴァージン)オリーブオイル

単にオリーブオイルと呼ばれるものの多くは、バージンオリーブオイルまたはピュアオリーブオイルを指します。

いくつかのオリーブオイルをブレンドしたものなので、オリーブの品質にもばらつきが見られます。エキストラヴァージンで一部香り付けがされていますが、オリーブ本来の美味しさを楽しむという点では物足りない、酸度を低く抑える事は出来てもオリーブの風味は失われているものがほとんどです。そのため価格については500ml当たり500円程度のものも多くなっています。プラスチックの大きな容器によって売られているものもあります。

 関連記事  日本基準が違うのでわかりずらい?オリーブオイルの等級
▶ 日本のエキストラバージンオリーブオイルは偽物ばかり⁉その理由とは?

オリーブオイルを使用すると揚げ物が苦くなる?

味覚の感じ方は人それぞれですが、「オリーブオイルで揚げ物をしたら苦くて食べられない」といった意見もあるようです。

純粋なオリーブオイルほど「ポリフェノール」と呼ばれる成分が多く含まれていて、このポリフェノールによって苦みを感じてしまうこともあります。

使用するオリーブの品種、若さ、酸度、メーカーによっても差がありますが、おおむね、ピュアオリーブオイルの方が苦みを少なく抑えられる傾向にあるように感じられます。

オリーブオイルは安定性が高いけど、遮光瓶と保存法にも気をつけて!

酸化に強く安定性の高いオリーブオイルですが、やはり常温でも開封した後にはどんどんと酸化の影響を受け始めてしまいます。

開封済みの植物油は、光を遮断し、冷暗所で保存するのがおすすめです。

 関連記事 
▶ 植物油には遮光瓶が必要な理由

オリーブオイルが揚げ物に最適な理由まとめ

オリーブオイルは他の油に比べても、揚げ物に適した油であることがおわかりいただけたかなと思います。

ただ風味については、人それぞれ好みがありますが、どんな揚げ物、天ぷらにもオリーブオイルが最適だとは思えませんが、一つの選択の参考にしていただければ幸いです。

口に合ったオリーブオイルを見付けることができて、さらに安価であればうれしいですね。

(By ゼウス23世)

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ゼウス23世

ゼウス23世

天上および人間世界を支配する、全知全能の神ゼウスの末裔。
こんな見た目だけど、実は健康オタク。
おっちょこちょいでミスを連発するので人間世界で修行中。
神からの教えを全て伝承しないと天上界へは帰れない。
【一押し食材(押し食)】
天然由来植物オイル、スーパーフード全般

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