米油にはトランス脂肪酸が少ない?知っておきたい米油の安全性
カラダに良い油ということで、「米油」の健康効果に注目が集まっていますね。
米油は日本の代表的な農作物の”お米(米ぬか)”から絞るオイル。値段も安くてテレビでも健康に良いって放送されてたし。おまけにほぼ100%国内産でより安心~!
けど、植物油って、絞る方法が大切だって言いますよね。
- 米油を抽出するときってどうやって絞るんだろ?
- 価格が安いっていうことは、コールドプレスじゃないの?
- トランス脂肪酸の心配はないのかしら?
なんていう疑問、その安全性についても気になっている方もいらっしゃいますよね。
そこで今回は、「米油」のその圧搾方法や、トランス脂肪酸が含まれているのか、について見ていきたいと思います。
この記事の目次
米油とは何から絞る油?
米油は日ごろ食べるお米の白い部分ではなくて、「米ぬか」と呼ばれるお米の「胚芽部分」から絞る油です。
脱穀して茶色い状態のお米を「玄米」といいますが、「玄米」から「白米」にする過程において取り除かれる薄い茶色い皮の部分と、胚芽の部分、これを合わせて「米ぬか」と呼びます。
↓こんな感じ↓
この米ぬかには、栄養がとっても多く詰まっています。主な栄養素としては、脂肪酸とビタミンB1やB2、ナイアシンや、ビタミンE、ミネラルなどです。
そして米ぬかにはまだ ”20%” もの油分が残っていて、その油分を抽出したのが「米油」になるのです。
こんな栄養価が詰まった米ぬかから採るオイルだから、米油にもとっても健康に良い栄養素が詰まっているんですね。
米油の栄養価分析についてはこちらに詳しく説明しています↓
参考記事▶ サラダ油に代わる救世主か?米油の効能9選と2つの懸念とは?
米油の健康効果は?
米油の健康効果としては、テレビ放送で表現されていた内容だけでも
- コレステロール値を下げる
- 美容効果、美肌効果が期待できる
- 動脈硬化の防止
といったことに大きな効果が期待できると伝えられていました。
で、そのテレビでの内容以外にも、次の特長があったりします。
1.抗酸化ビタミンである「トコトリエノール(TRF)」を含んでいて、このトコトリエノールによって、カラダの酵素の活性化を抑える効果があると言われています。
- このトコトリエノールを長期摂取することで、がんリスクが抑えられる可能性があるとも、ヨーロッパのがん研究ジャーナル誌は発表しています。
2.また米油には、稀少な特有の成分の「ガンマ・オリザノール(γ・オリザノール)」が含まれています。このガンマ・オリザノールは、コレステロールの吸収を助けてくれる効能があるとされている成分で、WHO(世界保健機関)でも摂取が推奨されている成分です。
米ぬかから油を搾るのは、どういう方法が用いられるのか?
残念ながら、米油の具体的な絞り方は、各メーカーさんに聞くしか知る方法がないのが現実ですが、一般的には、米ぬかから直接油分を搾り出すことはできず、一旦米ぬかを「高温で発酵させてから油分を抽出」します。
ですので、安心・安全なオイルの抽出方法であると言われる「低温圧搾法=コールドプレス圧搾法」というのは、厳密にはこの時点で米油には存在しないことになります。
トランス脂肪酸はふくまれている?
マーガリンやショートニングに多く含まれているトランス脂肪酸が大きな問題になっています。
トランス脂肪酸がもたらす健康被害についての警告は欧州各国がいち早く鳴らしはじめ、国をあげて表示化や販売規制などに取り組んできましたが、次にアメリカ、そしてここにきてやっと日本でもその危険性について大きく取り上げられるようになりました。
トランス脂肪酸とは?
脂肪酸の一種で、炭素と水素の結びつきが”シス型”ではなくて、”トランス型”に結びついた構造をしていることから、トランス型脂肪酸=トランス脂肪酸と呼ばれる脂肪酸です。
このトランス脂肪酸は、カラダの中に入って細胞や細胞膜の働きを狂わせたり、ビタミンなどの栄養素を食い荒らしたりする悪い働きをする脂肪酸。
トランス脂肪酸には、自然由来のものと人工的につくられたものの2種類が存在しますが、自然由来のものは、反芻動物(羊や牛です)の肉やミルクなどその乳製品にも入っているものです。
一方、人工的につくられたものには、植物油などの精油過程で、①化学溶剤による工業的な抽出法によるもの、②保存をよくするため水素添加されたことによって生まれるもの。等が存在します。
人工的なトランス脂肪酸は、近代工業化によってもたらさせた不自然で危険な負の産物だと言えるでしょう!
さて、話を戻して、米油にはトランス脂肪酸が含まれているか、多いのか?少ないのか?についてですが、
残念ながら、各メーカーによる具体的な製造過程は明らかになっていません。しかしながら、米油にも若干量のトランス脂肪酸が含まれているようです。もちろん、すべての製品ではないでしょうし、今、一番問題視されているマーガリンやショートニングに比べると少ない量になります。
- 植物油の中で1番多いとされている「サラダ油」や「菜種油」などで1〜1.3%程度
- 米油には1%前後のトランス脂肪酸が含まれる
とされています。
米油の1%のトランス脂肪酸をどう見るか?
このトランス脂肪酸は、自然界の反芻動物(牛や羊)の肉やその乳製品にも微量ながら含まれていると伝えました。その含有量は牛肉100gあたり、0.2~1.5%前後です。
農林水産省のHPでは、トランス脂肪酸の摂取量は、総エネルギー摂取量の1%未満とするよう勧告されています。日本人が1日に消費するエネルギーが平均約1,900 kcal なので、私たちの平均的な活動量では、1人1日当たり約2グラム未満が目標量とされています。
また、WHOの専門家会合(2002年開催)や米国のFDA(食品医薬品庁)でも、食事中のトランス脂肪酸を全取得エネルギーの1%以下にするよう勧告されています。-日本と同じレベルですね。
ですので、一日に米油を20g(大さじ2杯)摂ったところで、そのトランス脂肪酸の含有量は0.2gとなり、「問題ない少ないレベル」と言えるとは思います。
しかしながら、自然由来のトランス脂肪酸の方は問題なくても、人工型のトランス脂肪酸の場合はまだ分からない、危険だ!と主張する意見もまだあるようですので、今後の研究が待たれるところではあります。
実は、トランス脂肪酸よりも怖いものもあります
人工型トランス脂肪酸の摂取量についてはまだ研究段階で、今後、議論もさらに進んでいくものと思われますが、個人的にはもっと怖いものがあると感じています。
それは油を抽出する過程で使用される化学溶剤の存在と、取り扱いによる油の変質(酸化など)です。
【1】化学溶剤を使った抽出
すべてのメーカーに当てはまらないことを期待しますが、米ぬかから油を搾り出す際に、化学的に「ノルマルヘキサン」という溶剤を使用して油を抽出させているという話があります。
「ノルマルヘキサン」は強い毒性をもつ化学物質です!
メーカー説明によると、こういった化学溶剤は、製品には最終的に混入されないと説明がなされていますが、それでもその真意のほどはどうなんでしょうか?とちょっと懐疑的に見てしまう人もいるでしょう。
これに関するその製造プロセス、責任がしっかりと説明されているメーカーのものを選びたいものだと感じます。
【2】植物油の酸化の話
植物油は、酸素に触れたり、光に長時間さらされることによって、「酸化」という現象が起こります。また、発煙温度超えて調理し続けたり、油を繰り返し使ったりすると「酸化化合物」という悪い成分も発生してしまいます。
こういった酸化化合物は、体内でのフリーラジカルの生成につながり、カラダの老化や病気につながってしまいます。話題のAGEsをさけるため、抗酸化成分を摂っていきましょうと言われているものですね。
ですので、調理に使用する際には、加熱しすぎないように、また油を繰り返し使うのはもってのほか、ぜったいにやってはいけません。
そして、開封後はすみやかに消費するようにしましょう。保存方法も高温多湿の場所を避けて保存することが大切です。
米油の購入、使用に関する注意点
米油は稀少な成分が入った健康オイルと言えます。抽出過程で含まれるトランス脂肪酸の量も、紹介したとおり今の段階では、気にしないで良い少ないレベルと判断されています。
今迄の話をまとめると、
- 米油は稀少成分を含んだ健康オイル
- ただし、摂取量には注意が必要
- 劇薬の化学溶剤を使うメーカーには要注意
- 発煙温度を超えた加熱や、酸化させないように、取扱いや保存法には気をつける
これらに注意して「米油」を扱えば問題ないのではないでしょうか。
関連記事
▶ 日本にしかないサラダ油って何?トランス脂肪酸との関係は?
▶ キャノーラ油、まだ使いますか?トランス脂肪酸+αの怖い話とは
米油、トランス脂肪酸のまとめ
ここまで米油に含まれるトランス脂肪酸についてご紹介してきました。
米油におけるトランス脂肪酸含有率はゼロではありません。ですが、他の工業的に作られた食用油に比べてトランス脂肪酸が少ない油です。使用量やその用法をきちんと守って使えば「米油」が持つ健康効果や効能を得ることができます。
しっかりとこのことを理解して、米油を使っていきたいものですね!
(By ゼウス23世)
おススメ記事↓
▶ まだ国産派!?国産亜麻仁油を調べ続けてわかった3つのこと!
▶ 食用グレープシードオイルをお勧めできないこれだけの理由!
▶ しそ油とは違う!?「えごま油」の成分表、効能6選と注意点とは?