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玄米油が危険な理由とは?脂肪酸組成、米油との違いは何?

 2017/07/03 長寿の油
この記事は約 7 分で読めます。

いろいろな植物オイルの名前が溢れていて、混乱しそうな感じです。

中でも、「玄米油」が少し前から話題に上がってきました。

  • 玄米油って、米油との違いは何なのでしょうか?
  • また、玄米油は危険だという噂を聞くこともありますが、何が危険なのでしょうか?

今回は、玄米油とは、米油との違い、玄米油の健康効果、噂されている危険性についてご紹介していきたいと思います。

玄米油とは?米油との違いは何?

実は玄米油と米油はほぼ同じ油で、呼び方が違うだけです。

「玄米油」「米油」は他にも「米ぬか油」とも呼ばれることもあります。

日本農林規格(JAS)ではこれら全般に”こめゆ”という呼び方をしているために、米油の名前が広く一般に定着しました。

米油も玄米油も米ぬか油も、お米を精米するときにできる「米ぬか」から作られます。

米ぬかとは、玄米を白米へ精米する際にとれる外皮の胚芽部分になります。

日本ではコメの生産が盛んで、米ぬかが豊富に摂れるため、油の原料が安価で手に入ります。またほぼ国産原料で、遺伝子組み換え種の心配が要らないのも安心な材料ですよね。

玄米油の特徴

【脂肪酸組成】

まずは玄米油の脂肪酸組成とオメガ系比率をみてみましょう。

  • オメガ3  α-リノレン酸(ALA、オメガ3脂肪酸) 2.2%
  • オメガ6  リノール酸(LA、オメガ6脂肪酸) 34.4%
  • オメガ9  オレイン酸(オメガ9脂肪酸) 38.4%
  • 飽和脂肪酸 ミリスチン酸  0.6%
  • 飽和脂肪酸 パルミチン酸  21.5%
  • 飽和脂肪酸 ステアリン酸  2.9%

(引用: https://en.wikipedia.org/wiki/Rice_bran_oil

【発煙温度】

発煙温度は非常に高く、232 °C (450 °F)ですので、炒め物はもちろん、揚げ物にも十分に使える調理油です。

【酸化のしやすさ】

玄米油はオレイン酸比率(一価不飽和脂肪酸比率)が高く、ビタミンEも豊富に含まれているため酸化には比較的強い油になります。

また発煙温度が高いので、加熱調理にも向いていますね。

【豊富な植物ステロール】

玄米油(米油)には、実に27種類もの植物ステロール(フィトステロール)が発見されていて、この数は他の植物オイルを圧倒しているのも大きな特徴です。

玄米油(米油)の健康効果とは?

話題の玄米油には多くの健康効果が期待できます。

(1)美肌効果

玄米油には”トコトリエノール”と呼ばれるスーパービタミンEが含まれています。

トコトリエノールの抗酸化力は実にビタミンEの50倍とも言われています。そのため、アンチエイジング力が高く、シミ、しわの予防といった美容効果への期待が膨らみます。

また、玄米油には”ガンマ(γ)オリザノール”という成分も含まれています。このガンマ(γ)オリザノールには、紫外線を防ぐ効果や保湿効果のチカラがあると言われているので、お肌の健康を保つのに役立ちます。

(2)生活習慣病予防

玄米油の”ガンマ(γ)オリザノール”は、米ぬかに含まれる化合物です。このガンマオリザールには、コレステロールを下げる働きがあります。

加えて、玄米油のトコトリエノールやビタミンEにも、コレステロールを下げて血液をサラサラにする働きがあるため、玄米油には動脈硬化の予防・改善といった効果が期待できます。

(3)自律神経を整える

ガンマオリザノールには自律神経のバランスを整える働きもあります。更年期障害の改善や肩こり、頭痛の解消にも効果が期待できそうです。

(4)免疫力の強化

玄米油に含まれる植物ステロールには免疫機能を調整し、免疫細胞の一つであるナチュラルキラー細胞を活性化させる力があり、そのため免疫力アップが期待できます。

(5)便秘解消

オリーブオイルに多く含まれる「オレイン酸」が玄米油にも38.4%と多く含まれます。

オレイン酸は、排泄物を柔らかくしたり、腸を活発化したりする働きが見込まれるため、オリーブオイル同様に、便秘解消にも効果があります。

他、米油の健康効果、効能はこちらにも詳しく載せています↓

 参考記事 
▶ サラダ油に代わる救世主か?米油の効能9選と2つの懸念とは?

玄米油(米油)は危険?

玄米油(米油)が危険という情報が多くありますが、その理由は何なのでしょうか?また、本当に騒がれているほど危険なのでしょうか?

玄米油(こめ油)が危険だとされている理由

【その1】油の抽出方法

通常、植物の原料から油を搾る方法としては

  • (1)低温圧搾(コールドプレス)
  • (2)機械圧搾(エキスペラ―プレス)
  • (3)遠心分離方式
  • (4)溶剤抽出

の大きく4つがあります。(さらには圧抽法といって、(2)と(4)を組み合わせたものもあります)

(1)(2)の圧搾法は、昔ながらに単純に圧力をかけて油分を搾り取る方法で、オリーブオイルなど油分の多い原料によく使われる方法です。

対して(4)の抽出法は、油分が少ない原料によく使われる方法で、「ノルマンヘキサン」という薬を使って、油分を溶かしだす方法です。

米ぬかは残念ながら油分量が少ないため、通常「ヘキサン」を使用して油を搾取します。

この「ノルマンヘキサン」が劇薬で人間の体に害を及ぼすため、ヘキサンを使って作る玄米油は危険だと言われています。

しかし、ノルマンヘキサン自体はその沸点が68.7℃と低い液体で、玄米油を作る300℃にも及ぶその製造工程では完全に蒸発、除去されているので、人体に影響を及ぼすことはないとされています。

【その2】水素添加、トランス脂肪酸の問題

しかし、「ノルマンヘキサン」による溶剤抽出よりも、その工程で発生しうるトランス脂肪酸の方が問題です。精製された玄米油では安定化のための水素添加処理がされています。

トランス脂肪酸は、マーガリンなど化学的に作られた油脂製品に多く含まれていて、過剰に摂取すると、免疫異常を引き起こすと問題視されています。がん、生活習慣病やアレルギー、アトピーの原因の一つともいわれ、先進国の多くでは規制がかかっています。

玄米油に含まれるトランス脂肪酸量は約1%と少なく、さほど大量の油を摂取しない限り許容量の範囲だとする意見もありますが、人工的に作られたトランス脂肪酸については例外だとする主張もあり、その真偽のほどはまだわからないと考えた方が安全かもわかりません。

ただ、玄米油のトランス脂肪酸量をあれこれ議論する前に、菓子パンやスナック菓子に含まれるトランス脂肪酸にもっと注意を向けよとする意見には大賛成ですが・・

【その3】意外に多く含まれるオメガ6のリノール酸

玄米油(米油)はオリーブオイルと同じくオメガ9系脂肪酸のオレイン酸を多く含んでいるから健康油だとする意見も多く見られます。しかし、意外と忘れがちなのが、玄米油(米油)には摂りすぎが指摘されているオメガ6系のリノール酸も34.4%と高い比率で含まれていることです。

現代人の一般的な食事では、オメガ6の摂取量が極端に増えており、オメガバランスの崩れが問題視されています。

安全な玄米油(米油)は無いのか?

(1)玄米油(米油)を選ぶ際には、上記の危険性についてまず意識をしてください。

実は化学溶剤を使わず、昔ながらの圧搾法で作られている米油製品が存在します。圧搾一番搾りなどといった製品であれば、高温加工(水素添加、トランス脂肪酸)の問題も少ないのではないでしょうか?

(2)また、摂りすぎには注意しましょう!

より自然な製法で作られた玄米油は安心ですが、リノール酸の含有量についても忘れないようにしましょう。

オメガバランスの改善のためにも、玄米油(米油)の使用はほどほどに、そして不足しがちなオメガ3脂肪酸の摂取も心がけるようにしましょう。

玄米油まとめ

「玄米」とつくだけで健康イメージがより強化された玄米油。メーカーの広告戦略かもわかりません。しかし、玄米油(米油)には健康効果の高い希少な成分や、植物ステロールが含まれていることも確かです。

玄米油は、美容や健康に良い効果があって、比較的安く手に入ります。普段使いのサラダ油を代替品に玄米油を選ぶ人も増えていますよね。

ぜひ、玄米油(米油)の正しい情報を知って確認して、どれを選ぶのかを見極めるようにしてくださいね!

 関連記事 
日本にしかないサラダ油って何?トランス脂肪酸との関係は?
コールドプレス製法で作られた油以外は選びたくない理由とは?

(By ゼウス23世)

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ゼウス23世

ゼウス23世

天上および人間世界を支配する、全知全能の神ゼウスの末裔。
こんな見た目だけど、実は健康オタク。
おっちょこちょいでミスを連発するので人間世界で修行中。
神からの教えを全て伝承しないと天上界へは帰れない。
【一押し食材(押し食)】
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